口の粘膜は、体の中でも特に細胞分裂のスピードが速く、通常は2〜3日という短い周期で新陳代謝(ターンオーバー)を繰り返しています。この猛烈なスピードで進む組織再生の現場において、補酵素としてエンジンを回し続けているのがビタミンB2とビタミンB6です。
口内炎の代表格である「アフタ性口内炎」は、口内の粘膜が傷つき、そこに細菌や刺激が加わって生じる円形の潰瘍ですが、発症の根底にはビタミンB不足による粘膜の脆弱化が存在します。ビタミンB2(リボフラビン)は脂質や糖質の代謝に不可欠で、不足すると細胞のエネルギー産生がストップし、粘膜のターンオーバーが破綻して表面が剥がれ落ちやすくなります。
一方、ビタミンB6(ピリドキシン)はアミノ酸・タンパク質の代謝を司る司令塔です。損傷した粘膜組織を再構築するためのコラーゲン合成や、炎症を抑える免疫グロブリンの生成をダイレクトに後押しします。つまり、ビタミンB2が「新しい粘膜を作る材料の代謝」を担当し、ビタミンB6が「傷ついた組織の修復と抗炎症」を担うという完璧な連係プレーによって、口内炎の早期治癒が成立します。
さらに見逃せないのが、現代人のライフスタイルにおける「ビタミンBの急速消費」です。過度なストレスに晒されると、副腎皮質ホルモンを合成するために大量のエネルギーが使われ、その代謝過程でビタミンB群が激しく消費されます。また、アルコール分解や白砂糖を多く含む甘いものの代謝にもビタミンB1・B2・B6が総動員されるため、「激務が続いた後に甘いものや酒を摂取したタイミング」で口内炎が多発するのは、生化学的に必然の帰結です。