京都の寺院食文化を深掘りするうえで欠かせないのが、精進料理と普茶料理の決定的な違いを理解することです。
日本の伝統的な精進料理が「一汁三菜」を基本とした和様のお膳立てであるのに対し、普茶料理(ふちゃりょうり)は江戸時代初期に中国から隠元禅師が伝えた黄檗宗の精進料理です。ひとつの大皿に盛られた料理を4人前後の卓で和気あいあいと取り分けて食べるスタイルが特徴で、植物油を巧みに使った揚げ物(油治・ゆじ)や、もどき料理(魚や肉に見立てた料理)など、色彩豊かでコクのある中華風の味わいが楽しめます。
さらに近年、深い没入感を求める人々の間で人気を博しているのが京都の寺院・宿坊での精進料理体験です。妙心寺の塔頭をはじめとする宿坊に滞在し、早朝のお勤めや座禅を体験した後にいただく朝粥や精進膳は、心身が研ぎ澄まされる格別な体験となります。