現代のSNS環境は、執着の情念をさらに加速させるインフラとして機能している。相手のログイン状態、ストーリーズの既読、一瞬のいいねの反応。わずかなデジタルフットプリントを深読みし、頭の中で膨大な物語を作り上げてしまう依存の構造は、過去のどの時代よりも過酷だ。
「沼る」という言葉が日常語定着して久しいが、この言葉の裏には、自らの感情のコントロールを失っていく恐怖と快楽が同居している。画面越しに相手の気配を探り続ける無地な夜。作品に描かれる心理描写は、デジタル空間で他人の影を追いかけ続ける現代の若者たちの日常と完璧にシンクロしている。