甲高い声が「耳障り」と受け取られやすい背景には、人間の進化と聴覚のメカニズムが深く関わっている。人間の耳は、赤ちゃんの泣き声や危険を知らせるサイレンに代表される2,000〜4,000Hzの周波数帯を最も敏感に察知するように設計されている。適度なトーンであれば通りの良い声として機能するが、響きの伴わない金切声はこの周波数帯に過度なエネルギーが集中するため、聞き手の脳へ本能的な警戒心や疲労感を与えてしまう。
発声者側の心理状態も見逃せない。強い不安、焦り、「早く話さなければならない」という強迫観念に駆られると、自律神経の交感神経が優位になり、全身の筋肉が防御態勢に入る。この時、舌の付け根(舌根)や首筋が無意識に硬直することで気道が狭まり、声のピッチが意図せず跳ね上がってしまうのだ。