「週末になると、ヘリポートに直接降り立つ海外からのゲストも珍しくありません」
伊豆半島沿岸部に昨年オープンした大型複合施設の支配人は、事もなげにそう語る。かつてファミリー層の行楽地だった場所が、今や世界中から美食家が集まるハイエンドな聖地へと塗り替えられている。
カウンター越しに提供されるのは、地元の港から数分前に揚げられたばかりの極上ネタ。それが最新の水質管理テクノロジーと職人の緻密な手仕事によって仕込まれる。一貫数千円という強気の価格設定にもかかわらず、予約は数ヶ月先まで埋まり続ける。円安の波に乗ったインバウンド需要だけが理由ではない。本物の体験を求める国内のプレミアム層が、都会の喧騒を離れてわざわざこの「御殿」へと足を運んでいるのだ。