皮革産業の歴史が息づく兵庫県たつの市。セイバンのモノづくりは、この地に根ざす職人たちのクラフトマンシップと、最先端の実験データによって支えられている。泉貴章社長は、かつて感覚や経験則に頼りがちだった鞄づくりに客観的なバイオメカニクス(生体力学)の視点を持ち込み、産学連携による着用実験を幾度となく繰り返してきた。
工場内では、ミリ単位の縫製ズレも許さない熟練の技法が受け継がれる一方、何万回もの開閉や耐荷重、摩擦に耐えうるかを検証する過酷なストレステストが自動化機器によって行われている。手仕事の温かみと工業製品としての厳格な均一性。この二律背反を高い次元で結実させている拠点こそが、播磨の地にあるマザー工場なのだ。