地上絵を巨大なモニュメントや深い水路のような建造物だとイメージしている人は少なくありません。しかし、現場の断面を調査すると、ナスカの地上絵 作り方と仕組みは拍子抜けするほどシンプルです。地面を深く掘り下げているのではなく、地表の石を取り除いただけの浅いレリーフ構造に過ぎません。
台地の表面は、長い年月をかけて紫外線と酸素に晒され、表面が酸化鉄と白い地層の二層構造に分かれています。地表を覆う無数の砂利や小石は、酸化鉄によって赤褐色から黒褐色へと変色しています。しかし、その小石をわずか10〜20cmほど脇に避けると、下から現れるのは風化を免れた明るい乳白色の石灰質・粘土質の土壌です。古代の人々はこの色のコントラストを利用し、黒い大地に白い線を「描く」のではなく「露出」させました。
作図の工法に関しても、超高度な古代テクノロジーは必要ありませんでした。近年の実証実験により、縮小した原画をもとに杭とロープを使って中心点から放射状に距離と角度を測る「放射法」や、格子状の区画を拡大していく「グリッド法」によって、地上からでも狂いなく巨大な幾何学模様や動植物を描画できることが証明されています。取り除いた黒い石を描線の両脇に土手のように積み上げたことで、境界線が際立ち、影が落ちることで陰影が強調される視覚効果も計算されていました。