1971年、神宮前のわずか5坪のカウンター席からスタートした「ふーみん」。1986年に現在の南青山・小原流会館地下へ移転してからも、その人気は衰えるどころか世代を超えて広がり続けています。南青山の名店「中華風家庭料理 ふーみん」はなぜ長年行列が絶えないのか——その核心は、「毎日食べても飽きない、身体にすっと染み渡る優しい味覚設計」と「徹底したホスピタリティ」の融合にあります。
台湾出身の両親を持つ斉風瑞(ふーみんママ)さんが目指したのは、高級中華料理店の華美な宴席料理ではなく、家庭の食卓で振る舞われる温かなご飯でした。日本の良質な鰹節や昆布の出汁をベースに、台湾の家庭調味料や調理法を掛け合わせたスープや炒め物は、中華料理特有の重さや油っこさを感じさせません。「外食でありながら、最も上質な家庭の味を体験できる」という独自のポジションを確立したことが、流行に左右されない強固な支持基盤となっています。
さらに、斉風瑞さんの料理人生を追ったドキュメンタリー映画『ふーみんの料理道』でも描かれた通り、厨房スタッフやフロアスタッフ全員に共有されているのは「お客様の心と身体を元気にしたい」という純粋な利他精神です。席に着くとすぐに提供される名物の辛子高菜(ザーサイ)サービスや、常に目配りの行き届いた温かな接客が、訪れる人々に強い安心感を与えています。