津波から命を守るための鉄則として広まった垂直避難。指定された「津波避難ビル」への緊急退避は、平野部が広がる大阪において極めて有効な選択肢に見える。しかし、専門家はそこに潜む「落とし穴」を指摘する。
第一の課題は、高層階へ逃げた後の孤立と停電のリスクだ。津波によって一階部分や地下設備が水没すると、エレベーターは当然停止し、非常用電源も使用不能となるケースが多い。水や食料の備えがないまま上層階に取り残されれば、救助の手が届くまで数日間にわたり過酷な環境での生活を強いられることになる。
さらに、津波避難ビルの開放体制にも課題が残る。夜間や休日に鍵がかかっていて入れないケースや、管理組合との協定が形骸化している場所もゼロではない。「高い建物に入れば安心」という大まかな認識だけでは、直前になって行き場を失う危険性がある。事前に自らの生活圏にあるビルの開放条件や構造を確認しておくことが不可欠だ。