この広大な森が手つかずのまま残された背景には、生物学者としても高名であられた昭和天皇の強い意向が存在する。植物研究に深く傾倒された昭和天皇は、御用邸内の動植物相を温かく見守り、過度な開発を徹底して退けられた。その結果、首都圏近郊とは思えないほど豊かな生態系の聖域が保たれた。
NHKアーカイヴスに保存されている過去の映像や記録を紐解くと、当時の静養風景とともに、豊かな自然を研究される姿が刻まれている。その後、上皇陛下の御在位20年を記念する事業の一環として、御用邸用地の一部を国民へ還元する方針が決定。環境省を中心とした那須平成の森開園事業プロジェクトが発足し、長年の保全努力を結実させる形で一般公開への道が拓かれたのである。