「牧のうどん」を語る上で避けて通れないのが、食べ進めても丼の底が一向に見えないという怪現象だ。博多うどんの麺は一般的に柔らかいとされるが、ここの麺は完全に別格。釜揚げ直後の麺を水で締めずにそのまま丼へと注ぎ込むため、麺が生きたスポンジのように出汁を猛烈な勢いで吸い続ける。
結果として麺が膨らみ、食べても食べてもスープの中で増殖しているような錯覚に陥る。これこそが「食べても減らないうどん」と呼ばれる所以だ。柔らかい「軟めん(やわめん)」、標準の「中めん」、少し芯を残した「硬めん(かためん)」の3段階から茹で加減を選べるが、スープとの真剣勝負を楽しみたいなら、麺が出汁を急速に抱え込む「やわ」や「中」を選ぶのがツウの常識である。