人はなぜ、他者と群れることにこれほどまで執着してしまうのか。脳科学者の中野信子氏は、人間が持つ「同調圧力」と「排他性」のメカニズムを鋭く指摘している。原始時代において集団から追い出されることは死を意味していたため、人間の脳には「群れから外れる恐怖」が本能として刷り込まれているのだ。
しかし、物理的な生存が脅かされない現代社会において、過剰な同調は自己消耗を招くだけだ。中野氏が論じるように、他人の期待に応えるために自分の感情を押し殺す生き方は、脳にとって慢性的なストレス源となる。「友達を減らす」「一人で過ごす」という判断は、冷淡さの表れではない。自律的な思考を保ち、脳のクリエイティビティを最大限に引き出すための極めて高度な生存戦略といえる。