牡蠣を食べた直後は何ともなかったのに、翌日の夜や翌々日の朝になって突然激しい腹痛に見舞われる——このタイムラグこそが「潜伏期間」の不気味さだ。ノロウイルスの潜伏期間は一般的に24時間から48時間。体内に入り込んだわずか数十個という極小のウイルス粒子が、小腸の粘膜細胞に侵入して爆発的に増殖するまでにこの時間を要するのである。2026年現在、感染力はさらに強力化していると指摘されており、油断は一切許されない。
最新の予防法として専門家が第一に挙げるのは、徹底した中心部までの加熱だ。85度から90度以上の温度で90秒以上しっかり加熱すること。これだけでウイルスは失活する。「表面にサッと火を通しただけ」の半生状態では、中腸腺の中心部に潜むウイルスを死滅させることはできない。フライや鍋物であっても、中心まで熱が通っているかを必ず確認することが鉄則だ。また、調理時に使用した包丁やまな板、箸からの二次感染を防止するため、次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒作業を徹底することが求められている。