牧瀬里穂という名を一夜にして全国区へと押し上げたのが、1989年に放映されたJR東海のテレビCM「クリスマス・エクスプレス」だ。山下達郎の名曲「クリスマス・イブ」をバックに、遠距離恋愛の恋人を新幹線の改札口で待ちわびる少女の姿を描いたこのCMは、日本の広告史に燦然と輝く最高傑作として語り継がれている。
当時まだ17歳だった彼女が見せた、帽子を押さえながら駆け寄る姿や、柱の後ろから恋人を見つけてパッと華やぐ笑顔。計算のない無垢な感情の揺らぎが、ブラウン管を通じて観る者すべての胸を打った。演出を手掛けた制作陣も驚嘆したというその天性の表現力は、CMという枠組みを超え、クリスマスの過ごし方や若者たちの恋愛観そのものを塗り替える社会現象となった。