日本のことわざ「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」は、美しい女性の立ち居振る舞いを讃える言葉として親しまれています。芍薬はすらりと伸びた茎の先に花を咲かせるため「立ち姿」に、牡丹は横に枝を広げてどっしりと咲くため「座った姿」に例えられました。
非常によく似た両者ですが、植物学的な分類や開花時期には明確な違いがあります。
根本的な違いは「樹木」か「草」かという点です。牡丹は茎が木質化する「落葉低木(木)」であり、冬場も枯れ木のような枝が地上に残ります。一方の芍薬は「宿根草(草)」であり、冬になると地上部が完全に枯れて根だけで越冬します。
また、葉の形状でも見分けることが可能です。牡丹の葉にはギザギザとした切れ込みがあり、表面にツヤがありません。対する芍薬の葉は丸みのある楕円形で、表面にツヤツヤとした光沢があります。
一般的なボタンの開花時期と見頃は4月中旬から5月上旬(春牡丹)です。一方の芍薬は牡丹よりやや遅く、5月中旬から6月上旬に見頃を迎えます。なお、牡丹には冬の寒い時期に菰(こも)をかぶせて咲かせる「冬牡丹」や「寒牡丹」もあり、春先だけでなく初冬から新春にかけてもその風情を楽しむことができます。