井上芳雄のキャリアを語る上で、帝国劇場との蜜月関係を外すことはできない。東京藝術大学在学中の2000年、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役に抜擢されて鮮烈なデビューを飾った瞬間から、彼の伝説は始まった。
端正な顔立ちとノーブルな歌唱力で瞬く間に脚光を浴びた彼は、2002年に『モーツァルト!』のタイトルロールに抜擢される。破天荒で繊細、天才ゆえの孤独を抱えたヴォルフガング・モーツァルトを全身全霊で演じ切り、第10回読売演劇大賞優秀男優賞をはじめとする数々の栄誉を手にした。帝国劇場という日本最高峰の劇場の歴史は、まさに井上芳雄というスターの成長とともに刻まれてきたと言っても過言ではない。