「ゴーヤの苦味を消すにはスプーンで白いワタを削り取るように徹底除去する」という調理法は、料理本やSNS動画などで長年語り継がれてきました。しかし、食品機能学や農研機構などの分析データに基づくと、この常識は明確な誤解であることが分かっています。
ゴーヤの主たる苦味成分はモモルデシン(momordicine)やチャランチンと呼ばれるトリテルペノイド化合物です。これらが局在している部位を部位別に比較した研究では、苦味成分の約85%〜90%が緑色の外皮および表面のイボ(果皮部分)に集中しています。中心部にある白いワタ(胎座)や種子に含まれるモモルデシンの濃度は極めて微量であり、ワタ単体を口に含んでも強い苦味を感じることはありません。
それにもかかわらずワタを取り除く理由は、加熱時にスポンジ状の繊維が水分を吸って食感が水っぽくなり、料理の仕上がりを損ねてしまうためです。つまり、ゴーヤワタ取り方の正解は「果肉をえぐるほど必死にこそげ落とす」ことではなく、「スプーンの背で種と一緒に軽くなでるように取り除く」程度で十分です。力を入れすぎて緑色の果肉まで削ってしまうと、歩留まりが悪くなるだけでなく、調理の手間が無駄に増える原因になります。