実際に外来や入院を経験した都民の証言を辿ると、現場のオペレーションと受診者の心理の間に生じる摩擦の正体がより鮮明に見えてきます。
墨田区在住の40代男性は、激しい腹痛に襲われて深夜に救急外来を受診した際の体験を次のように語ります。「問診後、トリアージで軽症と判断されたためか、処置室に入るまで2時間半パイプ椅子で待たされた。当時は痛みのあまり『なぜ診てくれないのか』と強い憤りを覚えたが、隣の処置室に心肺停止の高齢者が次々と運び込まれるのを見て、自分の痛みが命に関わらないから後回しにされていたのだと理解した」。
一方、同院で出産を経験した30代の女性は、産科病棟での手厚い医療管理に深い謝意を示しています。「妊娠高血圧症候群が悪化し、近隣クリニックから緊急転院となった。担当医はリスクを包み隠さず淡々と説明してくれたため最初は怖かったが、手術室に入った瞬間のスタッフのスピーディーな動きと執刀の手際よさは見事だった。命を助けてもらった恩は一生忘れない」。
SNSや掲示板で語られる「評判」を分析すると、不満の約8割は「待ち時間の見通しが立たないこと」と「受付窓口や待合スペースの混雑」に起因しています。現場のスタッフが疲弊しながらも命を守る作業に専念している反面、待合空間で不安を募らせる患者に対する細やかなインフォメーションが追いついていないという、大規模公立病院特有のジレンマが垣間見えます。