日本の音楽史を振り返る上で、1994年9月1日にリリースされたMr.Childrenの4thアルバム『Atomic Heart』を抜きに語ることはできません。オリコン歴代アルバム売上ランキングでも上位に君臨する累計約343万枚という驚異的なセールスを記録した本作は、前作までの「渋谷系・爽やかポップス」のパブリックイメージを鮮やかに覆し、ロックバンドとしてのMr.Childrenを決定づけた金字塔です。
当時の制作関係者や音楽誌の証言によると、プロデューサーの小林武史氏とバンドは、前年に「CROSS ROAD」が初のミリオンセラーを達成し、同年6月の「innocent world」が社会現象となる中で、あえて「売れ線のポップス」に安住しない挑戦的なサウンドメイキングを敢行しました。その象徴こそが、シンセサイザーの大胆なシーケンスとヘヴィなギターリフ、そして骨太なブラスセクションが融合した「Dance Dance Dance」でした。
当時のオリコンチャートデータを見ても、シングル曲が牽引する形でアルバム全体が爆発的に売れる中、購入したリスナーが最も衝撃を受けたトラックとして挙げたのがこの曲でした。「innocent world」の爽快なメロディを期待してCDトレイを開けた当時の若者たちは、4曲目で突如鳴り響く攻撃的かつダンサブルなグルーヴに圧倒され、Mr.Childrenの音楽的懐の深さに完全に魅了されたのです。