本作の制作プロセスは、バンドにとって極めて多忙を極めた2019年の幕開けとともに進められました。同年にリリースされた4thフルアルバム『Attitude』は、大森元貴が自身の死生観や音楽への狂気的なまでの執着、そして他者とのコミュニケーション不全を赤裸々に吐露した名盤として知られています。『ロマンチシズム』はその先行シングルとして世に出されましたが、実は『Attitude』のヘビーな世界観と表裏一体の存在でした。
当時の制作関係者の証言によると、大森はタイアップとしてのキャッチーさをミリ単位で追求しながらも、「作品としての強靭なメッセージ性」を一切妥協しませんでした。スタジオワークでは、ベースの跳ねるグルーヴ感とドラムのタイトなアタック感を徹底的に追い込み、ただ明るいだけではない、どこか胸を締め付けるコード進行(切なさを帯びた分数コードの多用)が緻密に組み上げられました。
また、公開されたミュージックビデオ(MV)は、楽曲の「人間愛」というテーマを視覚的に象徴する映像作品として高い評価を得ています。MVの監督は大森元貴やメンバーを様々な日常的シチュエーションに配置し、背広を着たサラリーマンや学生、高齢者など、多様な年代・属性のエキストラを登場させました。コミカルなダンスや誇張された身振り手振りが散りばめられる一方で、登場人物たちが見せるふとした虚無感や生活の疲れがリアルに切り取られています。華やかなスポットライトの裏にある市井の人々の営みを肯定する映像設計は、「誰もが物語の主人公であり、同時に不完全な人間である」という歌詞のメッセージを完璧に補完しています。