しかし、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。特に木原を苦しめた長年の腰痛は、一時は選手生命すら危ぶまれるレベルに達していた。練習を中断せざるを得ない日々。氷に乗れない焦り。三浦もまた、パートナーを気遣いながらも、迫り来る大舞台へのプレッシャーと一人で戦っていた。
「龍一くんがいないリンクは、信じられないほど広く、冷たく感じた」と、後に三浦は語っている。だが、この空白の時間が二人の絆をより強固なものにした。焦って復帰を急ぐのではなく、互いの体を第一に考え、一歩ずつ進む選択をしたこと。この決断こそが、ミラノでの奇跡的な復活の伏線となっていたのだ。