このユニークな楽曲は、いつ、誰によって作られたのでしょうか。歴史的記録や関係者の調査によると、そのルーツは大正10年(1921年)頃にまで遡ります。
作者は、現在の鹿児島県さつま町(旧宮之城町)出身の小学校教員であった石井兼次(いしい けんじ)氏です。当時、学校の学芸会で子どもたちが演じる寸劇の劇中歌として作詞・作曲されました。
当時、都市部の上品な割烹料理であった「茶碗蒸し」は、農村地域では滅多にお目にかかれない未知の高級料理でした。初めて料理名を聞いた庶民が「茶碗の中に虫が入っているのか」と驚いたという当時の素朴な実体験や笑い話(元ネタ)を題材に、子どもでも歌いやすい軽快なリズムに乗せて仕立て上げられたのが誕生の真相です。
教育的な寸劇の出し物として生まれた一曲が、その抜群の親しみやすさから地域全体へと広がり、やがて世代を超えて歌い継がれる郷土民謡へと昇華していきました。