本作を語る上で外せないのが、映画監督の是枝裕和による革新的な演出手法だ。子役たちに事前に台本を渡さず、その場の空気と会話のなかで生々しい感情を引き出すドキュメンタリー的アプローチは、当時の日本映画界に鮮烈なパラダイムシフトをもたらした。
主人公・明を演じた柳楽優弥は、当時わずか14歳にしてカンヌ国際映画祭で歴代最年少の最優秀男優賞を受賞。審査員長を務めたクエンティン・タランティーノをはじめ、世界中の映画人を唸らせたその眼差しは、社会から隔絶された子どもたちの孤独と尊厳を完璧に体現していた。台詞の少なさとは裏腹に、彼の視線そのものが物語の核心を雄弁に語っていたといえる。