2000年代初頭の独立系作品から始まった本作の波紋は、東宝株式会社をはじめとするメジャー配給会社や、その後の日本映画産業全体の製作スタンスにも小さからぬ影響を与えた。過剰な説明台詞や劇的な劇伴に頼らずとも、映像美と役者の生々しい実存で観客を惹きつけられるという成功例は、多くのクリエイターにとって確かな指針となった。
昨今の邦画市場において、興行収入を重視したエンタメ大作と、作家性を極限まで突き詰めた骨太な企画との二極化が進む中、本作が残した足跡は「 cinema(映画)としての本質」を問いかける指標として、今もなお業界内で強く参照されている。