当時の制作現場は、まさに時間と情熱のせめぎ合いだった。GSの過密なツアースケジュールの合間を縫って敢行されたロケーション撮影では、キャストもスタッフも連日不眠不休。新宿や横浜の路地裏で見せるリアルな表情は、過密日程ゆえの極限状態が生んだ奇跡の産物でもあったという。
撮影現場では、台本にない即興のセリフや生々しい感情の衝突が前田監督によってそのまま採用された。斜陽化が囁かれ始めていた当時の日本映画産業において、映画人たちが新しい表現を模索し、スタジオの枠を飛び出して街の空気をダイレクトに焼き付けようとした執念が、このフィルムには息づいている。