『にこたま』は、交際9年、同棲生活も長い20代後半のカップル、あっくん(浅野晃平)とゆうこ(野木ゆうこ)の日常に、ふとした綻びが生じることから始まる物語だ。一見すると平穏で穏やかな二人。しかし、男側の衝動的な浮気と相手の妊娠という決定的な出来事により、築き上げたはずの「関係」が容赦なく解体されていく。
渡辺ペコが紡ぎ出す言葉と間は、単なる恋愛ドラマの枠に収まらない。講談社が誇る名作青年漫画として、綺麗事では済まない男女の打算、執着、そして孤独を見事に浮き彫りにしている。甘いラブロマンスを期待して読み進めると、容赦のないリアリティに胃が痛くなる読者も多い。だが、まさにその「苦さ」こそが、時代を超えて語り継がれる最大の魅力なのだ。