現在知られる物語の原点は、児童文学作家のヘレン・アバーソンとその夫ハロルド・パールによって生み出された試作段階のおもちゃ絵本『Roll-a-Book』にある。この原案における設定は、後の映画版とは大きく異なるものだった。
原案の初期段階では、ダンボを導く相棒はネズミのティモシーではなく、レッド・ロビンと呼ばれる小鳥だった。また、サーカス団での苦境や空を飛ぶ動機も、より泥臭い現実感に満ちたトーンで書かれていたとされる。この原案に目をつけたウォルト・ディズニーは、その物語が秘める普遍的な詩情を見抜き、即座に権利を獲得した。
ウォルト・ディズニー・カンパニーの手によって映像化される過程で、ネズミと象という天敵関係の皮肉を効かせたバディ構造が導入され、親子の引き裂かれる悲劇性が大幅に強調された。原案が持っていた素朴な寓話は、ハリウッド映画のドラマチックな叙事詩へと再構築されたのである。