明治おいしい牛乳を語る上で避けて通れないのが、2016年から全国へ順次導入された「新コンパック(900mlキャップ付き新容器)」への切り替えです。当時、実質的な値上げ(ステルス値上げ)ではないかという批判がネットを中心に噴出しました。
しかし、株式会社明治の開発チームが掲げた理由は、単なるコスト調整にとどまらない明確なデータと人間工学に基づく設計思想でした。
1. 単身・少人数世帯の増加と「飲みきりやすさ」
厚生労働省や総務省の世帯構造調査が示すとおり、日本の平均世帯人数は年々減少傾向にあります。1000mlパックでは賞味期限内に飲みきれず風味を損ねてしまう家庭が増加したことを受け、「最後まで最もおいしい状態で飲みきれる容量」として900mlが導き出されました。
2. 握力の弱い高齢者や子どもでも持ちやすいスリム設計
紙パックの幅を従来の70mm四方から狭め、縦長の形状に改良したことで、手の小さな子どもやシニア層でも片手でしっかり掴めるグリップ力を実現。重量も1kg未満となるため、注ぐ際の腕への負担が大幅に軽減されています。
3. 光とにおいを遮断するキャップ付き多層容器の威力
従来の屋根型(ゲーブルトップ)紙パックは、一度開けると注ぎ口が常に外気や冷蔵庫内の空気に触れる状態になり、庫内のにおい移りや酸化が進みやすい構造でした。新容器は密閉性の高いスクリューキャップを採用し、さらに光を透過しにくい多層構造の紙素材を採用しています。これにより、店頭の蛍光灯による光劣化を防ぎ、開封後も風味の劣化を最小限に抑えることが可能になりました。また、冷蔵庫内での「横置き」ができる点も、現代の限られたキッチンスペースにおいて絶大な支持を集めています。