彼のキャリアの原点は、演劇界の登竜門として知られる「俳優座」養成所の15期生にある。原田芳雄や夏八木勲ら、後に日本映画界を背負う異才たちがひしめく環境で鍛え上げられた地井は、初期の映画やドラマにおいて鋭い眼光を放つ凶悪犯やシャープな悪役として脚光を浴びた。
その凄みが一転、お茶の間の絶大な信頼を獲得したのが『太陽にほえろ!』をはじめとする一連の刑事ドラマだ。熱血でありながら後輩を温かく見守る刑事役で見せた泥臭くも筋の通った生き様は、彼の代表的なパブリックイメージを形成した。冷徹な犯罪者から情に厚い刑事までを縦横無尽に行き来する変幻自在の演技力は、舞台仕込みの確かな基礎があったからこそ成り立っていた。