最初から脚光を浴びていたわけではない。若き日の彼は、ピンク映画や低予算のVシネマを主戦場とし、年間何本もの現場をがむしゃらに駆け抜けていた。限られた撮影現場と厳しい制約の中で培われた圧倒的な現場対応力と確実な役作りが、のちの飛翔を支える頑丈な土台となったのだ。
やがてその稀有な存在感は日本映画界のみならず、茶の間のテレビドラマ業界にもなくてはならないものとなる。特に数々の刑事ドラマで見せた名演は語り草だ。犯人を静かに追いつめる老練なベテラン刑事から、裏で組織を操る冷徹な警察幹部まで、同じ警察組織の人間であっても全く異なるグラデーションを演じ分ける技術は圧倒的だった。