80代を迎えてなお、板の上に立つ彼の背筋は驚くほど真っ直ぐだ。幾度の体調不良や大病を経験しながらも、表現への渇望は枯れることを知らない。関係者が明かす近年の稽古場での様子は、まさに鬼気迫るものがあるという。
「台本を開けば、そこは戦場だ」――かつてそう語った言葉通り、一切の妥協を許さない姿勢は健在だ。セリフの一言一句、息を吸うタイミングひとつにまで神経を研ぎ澄ます。年齢を重ねたからこそ滲み出る円熟味と、若手すら圧倒するエネルギー。その両極が同居する唯一無二の佇まいこそ、今なおオファーが途切れない最大の理由に他ならない。