舞子海岸沿いに異彩を放つ八角三層の優美な楼閣、それが「移情閣」の別名で親しまれる孫文記念館(移情閣)だ。1915年に神戸の中国実業家・呉錦堂が建てた別荘を前身とし、日本で唯一、中国の革命家である孫文を顕彰する博物館として広く知られている。
外観の美しさもさることながら、館内に一歩足を踏み入れれば、大正ロマンの香りが漂う贅沢な木造建築技術と、当時の東西文化交流の息吹が鮮やかによみがえる。孫文が神戸を訪れた際の足跡や手紙、貴重なゆかりの品々が展示されており、単なる美観にとどまらない歴史の重みが漂う。窓越しに明石海峡を望むその姿は、かつて異国へと渡った人々の情熱とロマンを静かに物語っている。