安田南は、当時のサブカルチャーシーンにおいて異彩を放つアングラのミューズだった。媚びず、群れず、自分のリズムでしか生きない彼女の佇まいに、西岡をはじめとする若きクリエイターたちは強く魅了されたという。
「男をノックアウトする」「赤い手袋をしてバイオリンを弾く」といった印象的なフレーズの数々は、単なる空想の産物ではない。彼女が醸し出す危険で魅力的な雰囲気を、西岡独自の感性で昇華させた詩的なスナップショットだったのだ。自由気ままに生きる「あの子」に対する羨望と切なさが交錯する歌詞は、だからこそ半世紀経った今も生のリアリティを失わない。