華やかな東京の芸能界でトップを走り続ける一方、私生活では大きな決断を下す。放送作家で演出家の夫・河野洋とともに、静岡県伊豆の国市へと生活の拠点を移したのだ。都会の喧騒から離れた地で二人が始めたのは、単なるスローライフではなかった。地域住民とともに芝居を創り出す市民劇団「劇団いず夢」の旗揚げである。
プロの俳優ではない地元の人々に一から演技を教え、伊豆の歴史や風土を題材にしたオリジナル作品を上演し続けた。大都市の大劇場だけが演劇ではない。生活の場に根ざした舞台芸術こそが人々の心を結びつけ、生きる力を生み出すのだという信念。夫妻が二人三脚で注いだ情熱は、地域文化の活性化という枠を越え、日本演劇界に新たな光を投げかけた。