私生活において最も世間の耳目を集めたのが、世界的なアクションスター・千葉真一さんとのロマンスと結婚生活でした。二人は『キイハンター』共演をきっかけに交際へと発展し、1973年に結婚。1975年、野際さんが39歳のときに長女の真瀬樹里さんを出産しました。当時としては極めて珍しい高齢出産であり、世の女性たちに大きな勇気を与えました。
しかし、ハリウッド進出を目指しアメリカ・ロサンゼルスに生活拠点を移そうとした千葉さんと、「日本で女優としての仕事を全うしたい」と願った野際さんとの間で、将来の方向性にズレが生じます。協議を重ねた結果、1994年に離婚を発表。離婚会見において二人は隣り合って座り、笑顔で互いの功績を讃え合いながら感謝を述べ合いました。泥沼の愛憎劇になりがちだった芸能界の離婚において、この「お互いの夢を尊重するための円満離婚」は、現在でも「最も美しい記者会見」として語り継がれています。
母親としての野際さんは、愛娘の真瀬樹里さんに対して惜しみない愛情を注ぎました。真瀬さんが女優の道を選んだ際も、親の七光りに頼ることなく自力で実力を磨くよう厳しくも温かく導きました。2017年に放送されたテレビ朝日の帯ドラマ『トットちゃん!』において、真瀬樹里さんが母・野際陽子役を演じ、生前の母を完璧にトレースした演技で大反響を呼んだことは、深い母娘の絆を象徴するエピソードです。