母校の指揮をとる村田浩明監督が就任以来一貫して掲げてきたのは、伝統の継承と破壊である。「横高イズム」といえば、かつては極限の厳しさの中で培われる強靭なメンタルと緻密な小技の代名詞だった。しかし村田監督は、その精神性を現代のスポーツサイエンスと融合させた。
「伝統は誇るべきものですが、縛られるものではありません」。指揮官はそう言い切る。厳しい練習のなかにも対話を取り入れ、選手自らが考え、判断する「主体的野球」を徹底。抑圧ではなく解放によって引き出された選手の潜在能力が、土壇場での驚異的な集中力となってグラウンド上で爆発している。