名画『最後の晩餐』の意味とは?ダ・ヴィンチの暗号と裏切りの真相について重要なポイントを解説いたします。専門家の見解をチェックしてください。

ダ・ヴィンチが画面に組み込んだ数学的な計算は、現代のデジタル解析によってもその精密さが証明されています。本作で用いられた構図と遠近法は、ルネサンス期の一点透視図法(線遠近法)の最高到達点と評されます。

画面の天井の格子模様、左右の壁に掛けられたタペストリーの直線をすべて延長していくと、その交点(消失点)は寸分の狂いもなくイエス・キリストの右のこめかみへと収束します。鑑賞者の視線は、部屋のどの部分を見つめていても、空間のパースペクティブに引っ張られるように自然とキリストの頭部へと導かれる仕組みになっているのです。

また、構図全体に「3」と「4」というキリスト教の神聖な数字が幾重にも埋め込まれています。

  • 「3」の象徴:キリスト自身のポーズが安定した正三角形を形成していること、背後の窓が3つであること、使徒たちが3人1組の4グループに分かれていること(三位一体を象徴)。
  • 「4」の象徴:テーブルの左右の壁に4つずつ配されたタペストリー、使徒の4つのグループ(四大元素や四季、地上世界を象徴)。

天上界を意味する「3」と、地上世界を意味する「4」を掛け合わせることで「12(使徒の数)」となり、足し合わせることで「7(聖なる完全数)」を形作るという、極めて緻密な神学体系が幾何学として視覚化されているのです。

特筆すべきは、伝統的な絵画で聖人たちの頭上に描かれていた金色の「光背(後光)」が一切描かれていない点です。ダ・ヴィンチは光背の代わりに、キリストの背後にある中央の窓から差し込む自然な昼光をバックライトとして利用しました。不自然な宗教的シンボルを排除し、光学的なリアリズムによってキリストの神聖さを際立たせるという、科学者ダ・ヴィンチならではの革新的な仕掛けでした。