スプーンを入れた瞬間に伝わる確かな弾力と、舌の上でゆっくりと体温に溶け出し広がる重厚なコク。名古屋コーチンプリンが他のプリンと決定的に異なる最大の理由は、主原料である純系名古屋コーチンの卵が持つ特異な成分バランスにあります。
家畜改良センターおよび愛知県農業総合試験場の研究データによると、名古屋コーチンは一般的な採卵鶏(白色レグホーンなど)と比較して産卵数が年間約半分程度にとどまります。その分、1個の卵に蓄積される栄養素の密度が極めて高く、全体に占める卵黄の重量比率が約30〜33%と、一般的な鶏卵(約26〜28%)よりも有意に高い数値を示します。
さらに味覚分析の観点では、卵黄内に含まれるグルタミン酸やアスパラギン酸などの旨味系アミノ酸、および良質な脂質(レシチン)の含有量が豊富です。これが生クリームやバニラビーンズの香りに負けない、力強い「卵本来のコク」を形成します。現代のトレンドである飲めるようなトロトロ系プリンとは対照的に、卵白の熱凝固作用を活かした「正統派の固め食感」を実現できるのも、結着力と濃度の高い名古屋コーチン卵ならではの物理的特性です。