現代のローラーコースターは広大な敷地に高層構造物を組み上げ、オープンエアの開放感と重力加速度でスリルを生み出す。対照的に、浅草のコースターが突きつけるのは密室劇のような圧迫感だ。コースのすぐ脇には民家風の建物や遊園地内の施設が密集しており、搭乗者の視界は常に構造物で遮られる。
人間は周囲の景色が速く後ろへ流れるほど、高い速度を感じる心理メカニズムを持つ。コースターが壁際を通過する瞬間、網膜を掠める景色のスピード変化が脳を激しく錯覚させるのだ。さらに、昔ながらの金属フレームが発する振動と独特のきしみ音が、五感全体にスリルを直接訴えかけてくる。