映画ファンの間で最も激しい議論を巻き起こしたのが、眠れる森の美女のアニメと実写の違い、とりわけクライマックスにおける呪いの解き方です。古典アニメ版と実写映画『マレフィセント』では、キャラクターの立ち位置からラストシーンの意味合いまで、180度異なる構造が採用されました。
アニメ版のプロットは、森で出会ったフィリップ王子がマレフィセントの化身であるドラゴンを倒し、眠りに落ちたオーロラ姫に「真実の愛のキス」を捧げて目覚めさせるという、絵に描いたようなプリンセス・ロマンスでした。対して実写版では、フィリップ王子のキスではオーロラ姫は目覚めません。出会って間もない王子の好意は、ディズニー自らが「浅薄な一目惚れに真実の愛は宿らない」とアイロニカルに切り捨てた形です。
オーロラ姫の眠りを破ったのは、復讐に燃えながらも陰ながら彼女の成長を見守り、罪悪感と深い愛情に苛まれていたマレフィセントが額に落とした悔恨のキスでした。ここで描かれたのは、男女の恋愛を超越した「疑似母娘の無償の愛」であり、従来のステレオタイプを完全に覆す結末となりました。