一方で、眠気を感じた瞬間に就寝する行為そのものが完全に悪というわけではありません。状況に応じたメリットと、日常化した際のデメリットを冷静に見極める必要があります。
最大のメリットは、睡眠負債の急速な解消と入眠時の心理的ストレス軽減です。「ベッドに入っても眠れない」という不眠症状を抱える人にとって、眠気がない状態で布団に入る行為は強い焦りを生みます。強烈な眠気が訪れてから布団に入るアプローチは、入眠潜時(寝付くまでの時間)を最短化し、ベッドの中での余計な不安を断ち切る点で一時的な避難所として機能します。
しかし、これを恒常的なライフスタイルとして定着させた瞬間、数多くのデメリットが押し寄せます。最も致命的なのが、生活リズムの乱れによる社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)の固定化です。睡眠時間帯が日によって2〜3時間以上前後すると、体内時計を統括する視交叉上核からの指示系統が機能不全に陥ります。結果として、休日にいくら寝ても全身が重だるい「睡眠の質低下」を招き、不眠症改善策とは正反対の泥沼にはまり込みます。