多くのリスナーが抱いた最大の疑問が、「なぜダークファンタジーである『チェンソーマン』の主題歌に、平成アイドルの王道ポップスのフレーズを引用したのか」という点です。その核心には、米津玄師自身の緻密なクリエイティビティと作品解釈が存在していました。
楽曲制作当時、米津玄師は『チェンソーマン』の原作が持つ狂気と混沌、そして主人公・デンジのハングリーな生き様を音楽に落とし込む作業に没頭していました。その際、楽曲のデモを作っていく中で、無意識のうちに「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR」という言葉が脳内で何度もループし始めたと明かしています。
デンジは「朝食にジャムを塗った食パンを食べたい」「女性を抱きしめたい」といった極めて泥臭く本能的な欲望のために、過酷な運命の中で命を削りながら悪魔と戦い続けます。一見するとキラキラとしたアイドルの応援歌である「努力 未来」という言葉が、過酷な現実を生き抜くデンジの乾いた欲望や狂気と重なり合った瞬間、楽曲に圧倒的な説得力と爆発力が宿りました。ポジティブな言葉の裏にある切実な生への執着を表現するための必然的なピースだったのです。