小倉の食文化を語る上で外せないのが、発祥の地ならではのソウルフード「焼きうどん」だ。終戦直後の食糧難の折、手に入らなかったそば玉の代わりに干しうどんを使ったのが始まりとされる。老舗の鉄板で焼き上げられるそれは、魚粉の旨味と甘辛い特製ソースがモチモチの麺に絡みつき、一度食べれば虜になる。香ばしい湯気に誘われて暖簾をくぐれば、常連客の笑い声と鉄板の焼ける小気味よい音が迎えてくれる。
さらに歩みを進めれば、旦過市場周辺に息づく「角打ち」文化が待っている。酒屋の店先で乾き物や手作りの小鉢をつまみながら地酒を傾けるスタイルは、労働者の街として栄えた北九州の粋な社交場だ。フグや豊前海一粒かきなど、玄界灘と周防灘の豊かな恵みを受けた海鮮割烹から、地元民が日常使いするうどんの名店まで、小倉の夜は胃袋がいくらあっても足りない。