仕込み終わった梅を目の前にして、多くの家庭で真っ先に持ち上がるのが「梅シロップ残った梅そのまま食べる安全性」についての疑問です。特に「生の青梅には毒がある」という知識が先立ち、加熱せずに口にしてよいのか不安を抱く人が目立ちます。
結論から述べると、シロップ漬けが完了した梅をそのまま口に含んでも、青梅特有の中毒を起こす心配はありません。青梅の種子や未熟な果肉には「アミグダリン」という青酸配糖体が含まれていますが、これは氷砂糖の高浸透圧によって果汁が引き出されるプロセス、および果実自体が持つ酵素の働きによって、漬け込み期間(およそ2週間〜1ヶ月)のあいだにベンズアルデヒド(芳しい杏仁香の成分)等へと自然分解されます。したがって、シロップが完成する頃には毒性は消失しています。
ただし、衛生管理の観点で絶対に軽視してはならないのが「カビ」の存在です。梅シロップ残った梅カビ見分け方を正しく把握していないと、発酵と腐敗の区別がつかず、安全な梅まで廃棄してしまったり、逆に有害な菌を口にしてしまったりする事故に繋がります。
梅シロップの表面や実に現れる白い付着物には、大きく分けて「産膜酵母(酵母菌)」と「真菌(カビ)」の2通りが存在します。見分け方の基準は以下の通りです。
- 安全なケース(産膜酵母・発酵):液面や梅の表面に薄い白っぽい膜が張る、あるいは微細な白いオリが沈殿している状態。フルーティーなアルコール臭や爽やかな発酵香があり、綿毛のような立体感はありません。この場合は加熱処理(弱火で80℃・10分程度)を施せば風味を損なわずにリメイク可能です。
- 危険なケース(白カビ・アオカビ・クロカビ):水面から突き出た梅の表面に、ふわふわとした綿毛状のコロニーを形成している場合や、青緑色・黒色に変色している状態。ツンとするカビ臭や異臭が漂います。カビ毒(マイコトキシン)は熱に強く、果肉深くまで菌糸が侵入している恐れがあるため、この場合は迷わず破棄してください。
なお、カビの発生を防ぎながら梅の実の美味しさをキープするためには、シロップが完成した段階(漬け込み開始から約3週間〜1ヶ月)で速やかに実を引き上げることが衛生上の鉄則です。