まだ街が眠りから覚めきらない午前5時過ぎ。TBSラジオのフロアに、背筋を伸ばして歩く森本毅郎の姿がある。手には何社分もの朝刊。赤ペンで気になる見出しを囲み、スタッフと短い言葉を交わしながら生放送のシミュレーションを重ねていく。このルーティンは、数十年もの間ほとんど変わっていない。
時計の針が午前6時30分を指すと、カフが上がる。「おはようございます、森本毅郎です」。その一言で空気が引き締まる。『森本毅郎・スタンバイ!』が始まると、スタジオ内には心地よい緊張感が満ちていく。80代半ばを迎えた今も、ニュースの核心を一瞬で見抜く勘の鋭さは健在だ。原稿をただ読み上げるのではない。自らの言葉でニュースの裏側を抉り出す。その熱量に、若いディレクター陣も舌を巻く。