船場吉兆の転落は、2007年秋に発覚した一連の偽装工作から始まりました。福岡市内の百貨店で販売していた菓子や総菜において、賞味期限・消費期限の改ざんが日常的に行われていたことが農林水産省の調査で判明したのです。
発覚した不正は賞味期限の書き換えにとどまりませんでした。その後の調査で、以下のような悪質な偽装表示の真相が次々と明るみに出ました。
- 地鶏偽装:メニューに「宮崎産地鶏」と記載しながら、実際には安価なブロイラーを使用。
- 但馬牛偽装:「但馬牛」と謳ったすき焼き用肉に、他産地の和牛や交雑種を混入。
- 加工品偽装:既製品のゼリーやプリンを自社製と偽って詰め替え販売。
- 無許可製造:無許可の施設で製造された総菜を高級料亭ブランドとして流通。
高級料亭という絶対的な信用を笠に着た不正の背景には、ブランド力の過信と過度な利益追求、そして「少々の改ざんならば客には見抜けない」という現場の慢心がありました。