マウント斗羽の物語における最大のハイライトは、終生のライバルである猪狩完至(アントニオ猪狩)との関係性です。ジャイアント馬場とアントニオ猪木をモチーフにした二人の関係は、日本のプロレス界が長年抱えていた「馬場と猪木が真剣勝負をしたらどちらが勝つのか」という永遠の夢を具現化したものでした。
その決着が描かれたのが、名作短編『グラップラー刃牙外伝』です。二人は東京ドームを借り切り、観客を一切入れない「無観客での真剣勝負」を敢行します。セコンドもレフェリーもいない静寂のドームで、老いた二人の巨頭が肉体を削り合う死闘を繰り広げました。
試合の噂を聞きつけたファンがドームのシャッターを破って押し寄せ、最後は何万人もの熱狂的な歓声に包まれる中で戦いが完結します。勝敗を超越した「プロレスの魂」を見せつけたこの一戦は、格闘漫画の枠を超えて今なおファンの涙を誘う珠玉のエピソードです。