テレビ番組でモザイク処理が施され、あるいはあえて場所をぼかして放送されたロケ地について、視聴者は執念深い探索を続けてきた。大阪ミナミの雑居ビル、千日前の路地裏、さらには「でんぼ(腫れ物)の神様」として知られ、古くから数多の占い師が軒を連ねる石切劔箭神社の参道まで、候補地は諸説入り乱れている。
現地を歩いてみると分かるが、大阪の占い文化は東京のそれとは決定的に空気が異なる。きらびやかな個室サロンで高額なヒーリングを売るスタイルではなく、パイプ椅子に腰掛け、買い物袋を提げたおばちゃん鑑定士が、タバコの煙越しに容赦ない現実を突きつけるスタイルが主流だ。マツコが対峙したとされる場所も、そうした「商売っ気のなさ」が漂う猥雑な空間だったと噂されている。
「テレビに出たからって看板は出さんよ。マツコさんを診たのも、スタッフに拝み倒されたからや」。取材班が千日前のある老舗占術処で接触した古株の女性は、不敵な笑みを浮かべながらそう口を濁した。看板を出さずとも、噂を聞きつけた政財界人や芸能人が新幹線に乗って極秘裏にやってくる。それが大阪のディープな占い処の日常だ。