ガラス戸を開けると、漂ってくるのは香ばしい出汁と炒め油の匂いだ。昼下がりの店内には、近隣の勤め人や近所のお年寄りが黙々と箸を動かす姿があった。ネット上の喧騒がまるで別世界の話であるかのように、厨房からは心地よい鍋の音が響いている。
看板の定食は、飾らない盛り付けの中にしっかりとした手仕事が光る。奇をてらったものは何一つない。だからこそ、画面上で過剰に持ち上げられたり、逆に根拠なく批判されたりする状況とのギャップが際立つ。訪れた人が口を揃えて「ごく普通の、でも本当に良い食堂だ」と語る理由がそこにあった。