猫の被毛が生え変わる本来のピークは年に2回訪れる。冬の寒さに耐えるための密度の高い「冬毛」を脱ぎ捨てる3月から5月頃の春の換毛期、そして寒冷期に備えて保温性の高いアンダーコートを蓄え始める9月から11月頃の秋の換毛期だ。とりわけ春の抜け毛の量は凄まじい。指先で軽くつまんだだけで指先いっぱいの綿毛が取れるほどの勢いで、体温調節のための劇的な衣替えが行われる。
ところが、2026年の現在、全国の動物病院には「まだ肌寒い時期なのに大量に毛が抜ける」「初冬になっても抜け毛が止まらない」といった相談が相次いでいる。記録的な暖冬や初春の急激な気温上昇といった乱高下する気象パターンが、猫の自律神経とホルモンバランスに直接揺さぶりをかけているのだ。春が一瞬で過ぎ去り夏が前倒しでやってくるような気候のなか、猫の体は季節のシグナルを読み誤り、換毛のタイミングが前倒しになったり長期化したりする異常事態が日常化しつつある。